日本の森は戦後の「拡大造林政策」によって、それまでの広葉樹主体の二次林(自然林を人が利用してきた森)を全部伐採して、暖かい地方はスギ、少し寒い地方はヒノキ、うんと寒い地方はカラマツというふうに人工の森林に変えてしまいました。アカマツは植林したところもありますが、多くは伐採したまま裸地化したところに進入したものが大部分なので、これも広義の人工林といっても良いでしょう。これら針葉樹人工林は材木を生産して早くお金にすることを目的にして植えられたものです。しかしそれから間もなく国は国内の木材生産を無視し、財界の儲けを優先して外国木材の輸入自由化を行いました。それ以後当然のように安い外材が大量に流れ込んできました。そしてこれも当然国内の木材価格は暴落します。採算の取れなくなった地方の林業は衰退して、山村から大勢の森林従事者が都市に流れ出し、地域の過疎化のきっかけとなりました。地方の林業は先行きの不安や山林労働者不足などで勢い込んで植えた山の手入れも放棄され、下草刈りも間伐もできないまま今日に至っています。日本の植林技術は世界最先端を行く優れたものですが、その技術は密植、間伐です。ぎっしりと植えた木を、成長に合わせて10年くらいの間隔で順次間伐していくというやりかたです。ところが密植されたままほとんど間伐が行われなかったため、木々はどんどん成長してヒョロヒョロと伸びて、「素麺立ち」と呼ばれるよう林になってしまいました。こんな林の木は丈ばかり長く、枝も伸ばせず、陽の光のとどかない林床では根も充分に張れず、下草や低木も育ちません。
暗く混み合った針葉樹の人工林内には草花も広葉樹の低木も、キノコも生えません。したがって草や木の実を食べる動物も、花や樹液を求める蜂やカブト虫などの昆虫も住めなくなり、当然食物連鎖によって生きる鳥類も爬虫類もいなくなります。それらの生き物はかろうじて残っている広葉樹の混交林や人工林の辺縁に移動します。その場所がたまたま人家や集落と接した辺りにあればシカやイノシシ、クマなどの被害にもあうことになります。
根が充分に張らずヒョロヒョロと伸びた木は風や雨に弱く土砂崩れや、土石流を起こす原因になります。枝も伸ばせないということは葉っぱの量も少なく不健康なためCO2の吸収量も劣ります。一見緑一面の豊かな森に見える針葉樹人工林は一歩中に入ってみれば、こんなにも貧しく、狂った森林なのです。
「こんな森林を何とかしよう」として再生事業が始まったのは今から10年位前のことです。先鞭をつけたのは長野県の田中県政が最初でした。以後この動きは全国に広まりました。今平均的に行われている森林再生事業は間伐です。もっと他にもやらなければならない施策はいっぱいありますが、長野県だけでも45万ヘクタールにのぼる人工林の手入れは間伐だけでも大変な時間とお金がかかります。現在県は、間伐に十数億円の補助金(森林税を含む)をだして間伐事業を進めていますが、ある時期から間伐面積が伸びなくなっています。これは補助金が出ても伐採に従事する人が少ないためと、危険な仕事にもかかわらず収益が上がらないためです。切り倒しても割に合う有効な利用(販売)が望めないことから間伐材のほとんどは山の中に切り捨て放置されています。近年県の「樵講座」などで技術や入札資格を取得できるという後押しがあって、若い林業者が育ち始めていますが、厳しく危険で、保険も高い業種であることに加えて、補助金頼みの収益では月収十数万円どまりという現実の前に従事者数はk伸び悩んでいます。一つの解決策は、育ちが悪いとは言っても、そこそこに育った間伐材が有効利用され、持ち出し費用を差し引いても割に合う収入源となり、安定した経営や生活が成り立つ林業の仕組みを作ることです。

私たちのカラマツストーブ普及運動は、間伐材の有効利用という面での役割を担っています。現在の間伐材利用は建築材(太く真っ直ぐな最優良材)合板材(細くても良いが真っ直ぐな物)土木用材(杭、竿などで太いものは不可)などで、いずれも木材を選別しなければなりません。価格も建築用材などは外材とのからみで変動が大きく、時々暴落することもあります。この点薪としての利用では、価格的に安いとはいっても、太くても細くても曲がっていても構わないので選別の手間が要りませんし、他の用途では使えない曲がり材も同じ価格で引き取られるので、有利な一方法ではないかと思います。このためにはもっともっと針葉樹間伐材を焚くことのできるカラマツストーブを普及せる必要があります。

山林の現状と私たちの取り組み
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カラマツストーブ普及有限責任事業組合紹介
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